[読んだ本]砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

読んだ本

こんにちは、fumiです。読んだ本を紹介します。短めでネタバレなしです。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

不思議なタイトルですが本書は、田舎に暮らす中学二年生の主人公と転校生に起きた、夏休み明けのとある事件を描いた青春ミステリー小説です。ミステリー感は薄めで、儚く、残酷で、美しい青春描写多めです。
中学生。夏休み。転校生。すでになにか起こると決まっている組み合わせですね。

中学生

厨二病などとネットで言われるように、中学生というとやはり連想されるのは、夢見がちな空想に浸りがちなことだと思います。一方で肉体的な成長はほぼ大人の領域に突入し、子供から大人へ、空想から現実へ世界が変化していく苦悩に晒される経験は、誰しも思い当たるところがあるのではないでしょうか。本書の主人公は、家族や友人のいわゆる”空想”を理解しつつも、”現実”を生き抜くためには本書で言うところの”実弾”が必要なことを悟ります。砂糖菓子ではなく本物の弾丸が必要なことを。現実を受け入れるこの感覚が自分の中学時代の感覚とリンクします。本書を大人になってから読めてよかったと思えるポイントでした。

物語

物語は読者である我々には冒頭で、ある程度の結末が知らされる形式となっています。皮肉的なこの構造により、登場人物の苦悩や葛藤、希望や悲しみがより陳腐なものに感じられながらも、気づけばより深く感情移入させられます。また、その結末と向き合う主人公の受け入れ方についても、さながら読者である我々の感情のように錯覚してしまいます。

終わりに

本書は文庫本で180ページ程度であるため比較的サクッと読むことができます。
子供から大人へと変化する痛みや希望、大人と子供の世界、悲しい痛みに浸りたい方におすすめです。

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